断酒してなにしてる?

39歳のクリスマスに断酒を誓いました。持て余した時間にこんなことしてるトゥルーマン・ショー

2020年5月の読了 無人現場と在宅の往復

晴れわたる5月の陽気のなか、仕事で複数トラブルが発生。

現場に駆けつけても無人となった駅や空港を経由して、植栽も荒れ放題の事業所内を幾度も幾度も通う。手帳を見るとあーでもないこーでもないという試行錯誤のメモがびっしり。。。

現場と自宅を行き来する時間ばかりでしたから、読書が捗る捗る。

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道中、4月に仕方なく開店した飲み屋が閑古鳥。老舗の飲み屋も閉店。これ、家飲みでアルコール依存のお仲間が増えてしまいそうで。嬉しくもない話です。

 

父親を名乗るおっさん2人と私が暮らした3ヶ月について/瀬那和章

名乗りの経緯につらなる小さなミステリーに引き込まれる。新たな家族が生まれてくる時期につむがれた小説には瀬那さんの家族への宣言が滲んで見える。これから生まれてくるお子さんと晩御飯を囲む時間が早く訪れますように。

factfulness/ロスリング

情に流されない真なる統計を軸にする作者はエイリアン2に出てくるビショップを思い出させる。そうだったのかー!と思う事実がある訳でもない。鵜呑みにしてしまうことも大いに勝手で、そんなものその人の感じ方に任せていいではないかと冷めがち。

封印再度/森博嗣

意味深なタイトル。それが型に嵌って還元されるように、気持ちも再度封印される。Fに続き、タイトルが全てを顕す。人が集い話し食し飲み騒ぐ。何者にでもなれるあの頃に戻りたいと強烈に思ってしまった。今はあの世界に再度還元されることを願って止まない。

島はぼくらと/辻村深月

あなたは何を心の拠り所にその土地で生きていきますか?選べる時期までにこれを読める人には故郷への愛着が増すのかもしれない。でも故郷で待つ人は大概いないと思う。著者の経験したであろう故郷への愛憎も織り交ぜながら、あのキーキャラも登場させて大いに盛り上がる。

活版印刷日月堂2/ほしおさなえ

生活感がないような夢見がちな話に眉をひそめていた。が、短編が進むにつれ「我らの西部劇」でそう思う自分があくせくしていたことを気付かされる。寂しさを抱えて、そこから逃げも刃向かうもせず、幻の風景を今も心に持って心の支えにする。不安が晴れていく。

まどろみ消去/森博嗣

殺人と夢現が交ざり合う短編集。切り口がバラバラで自分の立ち位置をひっくり返される揺さぶりが刺激的。あちらこちらのスピンオフも回収して、さて、次の巻からS&M後編かな。UNIXtelnetの時代もまもなく終わる。

ぼくと1ルピーの神様/スワラップ

スラムドッグ原作本。何度も記憶を巻き戻しクイズの答えに辿り着く。この本には12編の彼の人生が詰まっている。彼と共に自分の人生も何度も巻き戻す。醜さも悩みも欲望も、自分の内側も暴かれるようで、映画を見た時の痛快さとは違った後暗さを発見する。

下町ロケット/池井戸潤

中小企業が手作りロケットを飛ばす!…話なのかと思って敬遠していた。自らの境遇でそれぞれが想う「仕事」をすべく、本音がぶつかり合う。選ばなかった自分が次々に現れ、対極の自分にも共感し胸に響いてくる。誠意を尽くす理由、仕事は金だけじゃ馬鹿らしくなる。

新聞錦絵の世界/高橋克彦

ブックバー大倉さんが薦めていた本。浮世絵の発展とも言うべき明治初期の東スポの生々しい記事。意外と江戸のままだなと感じてしまう。これが高橋克彦の入口になるとは。この本、デビュー作の写楽殺人事件とすぐ後に書かれてる。35年越しで処女作から読み始めてみたい。