断酒してなにしてる?

39歳のクリスマスに断酒を誓いました。持て余した時間にこんなことしてるトゥルーマン・ショー

2020年2月の読了 世の中が変わる直前

遠方出張で遊んだり、雪山旅行に行ったり、楽しい2月。

古き良き日々よ。。。

シーソーモンスター/伊坂幸太郎

伊坂作おなじみの例の組織が絡めば嫁姑問題も世界問題も素材の味が変わる。螺旋プロジェクト2作目はバブル期とAI特異点を迎えた近未来の話。目眩くルパン映画のよう。穏やかに生きる努力するのは自由だけど、実は穏やかじゃない感情こそが未来には必要なのかも。

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そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ

2人で囲む会話と食事が愛しくて、自分の中で森宮さんは果てしなく膨らんでいく。明日が2倍になる。未来が倍になる。自分以外の未来に触れられる毎日。朧気に感じてる今の自分の如く。その彼に訪れた透き通った幸福感。私に理解できるのだろうか。今はまだ無理としても。

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三体/劉慈欣

壮大なスケールで拡がる世界。理系が歓喜する事象を隙間なく埋め込み、物語に不安定な葛藤など寄せ付けない。とにかく第1巻からこの密度!国・世界の他力的崩壊を願う人々や、三体世界で変貌を遂げてきた世界から匂う政治的文脈。向かう先の自由がありすぎて、早く次を、早く次を。

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IWGP15絶望スクール/石田衣良

ベトナム留学生の話、それが小説の題材になってしまうのがやるせない。搾取がなかろうと無事2年間を過ごして帰るのが誰にとってもいい事なのかわからない。池袋を舞台に時代の事件は1年で廃れるペースで変わっていく。虐待、危険運転、引きこもり支援、日本語学校

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むらさきのスカートのおんな/今村夏子

紫色と黄色のコントラストと配色が秀逸。狙いすまされた芸術性がある。どこまでが妄想なのか、見聞きした全部が嘘でないのなら、紫はどういうことよ。都市伝説となって色を完全に塗り替えることは出来たのだろうか。

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嘘と正典/小川哲

理知に富む短編。詰め込んだ知識とかじゃなく、滲み出る頭の良さ。この文字運びは絶対自分には真似出来ない。だけど、パッションが欲しい。出てくる人物はみなマトモで、理解不能な人物がいない。物語だからバカみたいにこの凡人を振り回してくれと願いたい。

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フーガはユーガ/伊坂幸太郎

書き下ろしだし、一旦休憩することが出来ないくらい一気に読んでおきながら、具体的な気持ちが言葉として湧いてこない。展開、設定、伏線、どれも面白いんだけど、再読したい欲求はたぶん出ない。1度きりの痛快さというのは井坂作品にはある特質だろう。

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大泉エッセイ/大泉洋

大学生の頃から続く16年間のエッセイ。過去のつぶやきって気付くとハマっちゃう。他人のものでも自分の思い出との共通項があるから、いつしか自分の心の旅に出て意識を失いそうになること幾度。「夜の飛行機の離陸時に洋楽をかけ、壮大な自分に酔う感覚」分かるわぁ。

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ツナグ2 想い人の心得/辻村深月

まず言いたい。奈落の淵に救いをくれたことに感謝。青や緑や桜…物語を彩る色彩が、ツナグ全体に漂っていた白黒のイメージを色彩やかに一変させてくれる。死者に会わなくとも、同じ時間に存在できることの尊さ。今の時間が無性に愛しくなる。早く家に帰ろう。

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フクシマ50/周木律

小説にしないと忘れてしまうのか。あのときウランが露出したらならば東日本は今も原生林になっている。破滅的危機を覚悟したあの日を。何かに許しを乞うて一睡も出来なかった日を。克服なんてしなくていいのかもしれない。動悸が激しくなるのはなくてはいけないことだ。

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