2019年5月の読了 シンギュラリティ
転勤は無い。変化は無い。
— なだ@ほぼ読書垢 (@marsaw_ocean) May 30, 2019
しかし、今のまま昇格でござる。
何が変わったかと自問すると力が抜けてしまう。とりあえず転職を考えることはもう無くなった。
毎週のように鯵を三枚におろし、刺身となめろうにした5月。
苦悩した人事に答えが出た5月。
一つのシンギュラリティ。
- 黒猫の小夜曲 知念実希人
- 地球星人 村田沙耶香
- 桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
- 宮脇檀の住宅デザインの教科書 中山繁信
- マギ 大高忍
- 童の神 今村翔吾
- 錆びる心 桐野夏生
- 熱帯 森見登美彦
- のぼうの城(上 和田竜
- のぼうの城(下 和田竜
- 洋食小川 小川糸
- 死にがいを求めて生きているの 朝井リョウ
- 海賊とよばれた男(上 百田尚樹
- 海賊とよばれた男(下 百田尚樹
- 恋する寄生虫 三秋縋
黒猫の小夜曲 知念実希人
今度の死神は猫だニャン。レオの続編、なのだけど、どうしてもキャラを入れ替えて焼き直した感が。でも、遠山の金さんも水戸黄門だって、どの話も面白い。そういう安定感は好き。さあ、役者が揃ったところで世界を巻き込むような緊迫感をくれないかい?
地球星人 村田沙耶香
気持ち悪いものが次々に入れ替わる。どちらも気持ち悪い。そう思う私だって気持ち悪い。そして読むのを止められない。倫理や常識を問う揺さぶり方が激しすぎる怪作。彼女の著作を読んだ後は自分が"何物でもない"と…空っぽで身軽になれてしまうのは私だけだろうか。
桐島、部活やめるってよ 朝井リョウ
高校生のあの時あったはずの言葉に出来なかった感情をすくい上げる。あの気持ちが言語化されることで整理ができる。大人の意訳でもなく、現役の思い込みでもなく、当時の彼にしかできない一世一代の仕事。これはちょっとした奇跡だなとすら。
宮脇檀の住宅デザインの教科書 中山繁信
フォロワーさまツイートより感化 周遊プランを見るとちょっぴりの後悔が顔を覗かせるけど大丈夫。今の家を建てる前に読んでいたとしても、きっと今の間取りを選んだと思うから。
住宅・インテリアの教科書-世界の巨匠に学ぶ建築デザインの基本-
- 作者: 鈴木敏彦,松下希和,中山繁信
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2014/11/01
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マギ 大高忍
世相、歴史、世界そして宗教哲学。何よりも生き方を全部写し切ったなあという激熱な37冊だった。自分より強い誰かのことも助けてあげたいよね!自分のことを好きになって胸を張って生きていたいよね!!。自分のやりたいことは自分で決めたいよね!!!
童の神 今村翔吾
鬼と蔑まれ、いつしか酒呑童子と恐れられた平安の者達と、悪の朝廷道長率いる藤原四天王。多分そうだったであろう発想からこんなにも血肉を通わせる創作!これは震える。「お前のような者ばかりの世にすることだ」。鬼の悲願は現代の我々の身の内にきっと今も息づいている。
錆びる心 桐野夏生
アル中が出てくるおすすめ小説その2。心を抉られる。次々に登場する狂気が読む者に何かを植え付けてくる。短編なのに焦るように読むスピードが加速していく。むしろ長編だったら耐えられない。
熱帯 森見登美彦
現在位置を保て。行方不明になるな。思い儚く、嵐に巻き込まれる。オモチロイではなくどこまでも内に収束してく作風の方が作者の性かな。入れ子の妄想ワールドの知的迷路が程々であれば直木賞あったかなぁ。数百年先も世に残る物語の形は変幻自在なのかと思いがふわふわ。
のぼうの城(上 和田竜
この日のため数多のネタバレから自分を遠ざけてきた。絶対に史実を検索しなかった。坂東武者達の誇りは言葉ばかりか、それとも果たして。何があって成田記が残ったか。誇りは私に何を語りかけてくるのか。武者震いと期待が止まらない。下巻が楽しみでしょうがない。いざ!
のぼうの城(下 和田竜
40倍の軍勢との合戦に応じるのか!?史実の真偽を疑ってしまうほどの映画的展開。冗談のように駆け抜けた人達がいたことに高揚する。何より、のぼう様の感情が読み切れないからこそ躍動感が一層増す。更に、各人の後日談に胸が満たされて祭の余韻が心地よい。
洋食小川 小川糸
糸さん2016年の日記。人の日記って楽しい。その日の自分を思い出させてくれる。でも、あの文章を読んだ時の自分は何を思ってどんな気持ちだったのかはもう分からない。なーんて考えていたら昔読んだコラムを読みたくなり…。普段と違う記憶への呼び水になります。この本は。
死にがいを求めて生きているの 朝井リョウ
誰かの役に立ちたい。何か成し遂げた人間になりたい。自分の為だけに存在し続けるなんて気が狂いそうになる。確かに自分だけはこうならないなんてことは無い。私達の生きがいは揺らいでる。あの言葉に触れたら、この先もう上書き出来ないかもしれない。
海賊とよばれた男(上 百田尚樹
20代の頃、出光と仕事をしたことがある。少数精鋭の師弟が大きな決裁権を振るう様は衝撃的だった。そして小説通り、御国何物ぞ!の国への反骨は凄まじかった。成り立ちの歴史を今知ってみれば、一騎当千の店員達は現代にも受け継がれる。あいつら凄いよ。
海賊とよばれた男(下 百田尚樹
英雄的な店主も、50代コンビでイランに乗り込んだ役員も。珠玉の人生の輝きが人物の数だけ瞬いている。どんな人生でも素敵なものですね。私の仕事ぶりは他社貢献できているだろうか。任されたミッションを金額内で完遂することだけが目的になっていないだろうか。
恋する寄生虫 三秋縋
恋する病は何が引き起こしているんだろう?若かりし熱情を思い返す度に、もしかして寄生虫が操ったのだと妄想することがある。それより落ち着いた、静かな引力のお話。著者の他作とデシャヴ。それにしても、恋する寄生虫…とても澄み切った綺麗なコトバ。