断酒してなにしてる?

39歳のクリスマスに断酒を誓いました。持て余した時間にこんなことしてるトゥルーマン・ショー

2017年11月の読了 初読み作家をむさぼる

正解するマド 乙野四方字

原作アニメも野崎まども知らないのに窓の表紙に手を出した。合わせ鏡の白い宇宙だった。SFメタってこういう面白いのもあるんだと唖然。読めばわかるけど、やっぱり破り捨てないといけないかと振り返ってしまう。作者がリスペクトする野崎まどの本を読みたくなった。

ちなみに。。。

野崎まどを読む順番。この小説は、これ単体で読むよりもふさわしい。

  1. アムリタ
  2. 舞面真面とお面の女
  3. 死なない生徒殺人事件
  4. 小説家の作り方
  5. パーフェクトフレンド
正解するマド (ハヤカワ文庫JA)
 

幸福な生活 百田尚樹

ラスト一行であっと言わせるショートショート構成作家らしい小話の連続。乗り物の待ち合いとかにちょうど良いかも。昔はこういう文庫ばっかりだったような錯覚?怖い女の話ばかりなのが個人的にちょっと嫌でした。またかよ、みたいな。好みの問題だけど。

幸福な生活 (祥伝社文庫)

幸福な生活 (祥伝社文庫)

 

和菓子のアンソロジー (光文社文庫) 坂木司ほか

やっぱり食と記憶の結びつきは強い。短編で作者がバラバラにも関わらず、話がいつまでも頭から離れていかない。中華菓子、どら焼き、葛、松露、淡雪羹、夜船、練切り、遠山餅、黄身時雨、七夕。文字で残しておくだけでストーリーは甘く蘇ります。 

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コンビニ人間 村田沙耶香

社会や一般的というものの残酷さ。自分であることの存在意義。コンビニという完全性。短い芥川賞の範囲で全部表す。誰しも抱いたはずの「異物にならないようちゃんと生きなきゃ」がジクジクと抉られて…。必死に生きるすべての人間に問いかける。唸るしかない。

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ソードアート・オンライン19 川原礫

前回読了から1週間…超細切れで一冊読み終わった。感想、書きづらいなー…。後日談のプロローグ。数あるSAOシリーズでもこの巻の意義がまだ呑み込めない。次巻ですっきりさせてほしい。

スーパーカブ (角川スニーカー文庫) トネ・コーケン

孤児になった女子高生。奨学金で細ボソと生きる中、通学の足でカブに出会う。読めばカブが欲しくなる麻薬のような本。気軽に持てるカブの良さが、淡々とした日誌体から静かに、控えめに出ている。「ずっと持ち続ける!」私もそう思ってたのになんで手放したかなぁ。。。

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スマートノート 岡田斗司夫

「B5ノートを見開き、右から書け」ふざけんなと思った私が、今日も脳内ループを素直にノートに吐き出す始末。強い主体性こそがこの本の主旨。衝撃的な一説「現実世界では只の人。電脳世界は自由をくれるけど均質な無価値さを思い知らせる。ノートにあるのが脳内世界」

あなたを天才にするスマートノート・電子版プラス

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コーヒーが冷めないうちに 川口俊和

コーヒーが温かい間だけ過去に帰れる。原則は過去は変えられない。でも、自分の振りかえり次第で心や未来や捉え方は変えられる。短い会話のぶっきらぼうさが中盤から深みを増す。脚本家らしく多くを語らず。コーヒーを飲んだ後の一服感がふんわり残る

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みかづき 森絵都

理想教育を目指す大島一族。この巨編には人生の数多の煌めきがある。理想に見切りをつけることも、足掻くことも、目的を見失うことも、凪いでいくことも。最後に月が満ちるその時まで、欠けている自覚を持って、私も自分の道を満ちよう。不条理に抗う力は私にも授けられたはず…!

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流 東山彰良

台湾で生まれ育った国民党戦犯の孫。少年期から青年期に流れていった思い出の断片。それらの物語からキャラが飛び出してくる躍動感。受け取ったメッセージはよく分からない。だけど、皆で輪になって話を聴き入りたくなる。噺家の話術のように惹き込まれて、楽しい時間をもらった。

流 (講談社文庫)

流 (講談社文庫)

 

クローバーナイト 辻村深月

保活、お受験、誕生会、子育てエッセイの様相が徐々に胸苦しさに変わる。やはり辻村深月。子育ての今だからこそ、今の気持ちを未来の自分へ遺すかのよう。最終話に出てくる際限なく膨らむ親からの干渉というのが他人事ではない。育てさせてもらっている、お忘れなく。f:id:marsaw:20180330002727p:plain

パーマネント神喜劇 万城目学

トヨトミ以来何年ぶりだろう?万城目さん。長編ではなく、雑誌掲載(しかも2010と2016年)の短編でした。出版の間も空いていたから薄々予想はしていたけど…出版社さんの編纂の意図がよくわかんない。満を持して書いたもの、が読みたい。

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ヴァン・ショーをあなたに 近藤史恵

シリーズ第二弾。名物ホットワインレシピの由来が題名です。店の中での謎解きに留まらず、パン屋、仏の修行時代など、ビストロの外を舞台にした「動」にするだけでこんなに開放感が出るとは。別の作品みたいに楽しい。近藤さんは海外での物語が秀逸だと思う。

 

祝言島 真梨幸子

初読み。初嫌ミス。揺られるままに読み進め、グチャグチャな糸を解き解す作業を初めて体験。読後、話の構造設計に深いため息が出てくる。最後まで筋を読ませないあまり、感情が汲み取れない異様な人物ばかりになったところが、物語というよりも建築作品たる所以でなかろうか。

京都あやかし絵師の癒し帖 (スターツ出版文庫) 八谷紬

会話の間や続きから気持ちを察する登場人物の掛け合いに、自分の心まで慈愛に満ちてくる。設定自体はいろんな他作品の要素を煮込んでるように見えるけど、オリジナルに昇華してる。思い遣りとは少し違う…相手を受け容れる広さが清々しくて気持ちがいい。

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2017年10月の読了 良本のお祭り騒ぎ

スターティング・オーヴァー 三秋縋

私が頻繁に妄想し書いてみたいと思ってた"1回目を失いたくない"タイムリープ。絶望感に胸を締め付けられ、対人関係の歪みを抱え込んだままでも…これこそがあるべき道程だったと得心。他の作者とは違う捻くれ感がクセになる。深みのある素晴らしい一冊。

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スフィアの死天使: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex) 知念実希人

始まりの物語。創作の土台に息吹を吹き込む執筆は幸せそのものではなかろうか。気持ちよく読み進めた。推理カルテはワクワクするのに比べ、殺人が絡む事件カルテはスリリング。トリックも全然わからず。作品の拡がりが果てしない。

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ボトルネック 米澤穂信

初読み作者。存在理由の苦悩を年齢で溶かすことなく満を持して書き上げた。青春の苦悩がどうこうより、世界の狭さや考え方の狭さに苦しさを覚え、閉塞感を持った高校生が大人びた筆で書いた若者らしい自己顕示を前面に感じる。もう目線を並べられない自分を再認識。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

 

クジラの彼 (角川文庫) 有川浩

決め台詞で見得を切られるたび湧き上がる高揚感。台詞にヤラれっ放し。"ロールアウト"の「あなたが戦うと言ってるのにこっちが日和れない」が一番好き。ベタ甘ラブロマは幾つになっても胸の奥が暖まる。恋愛だけは憧れて自分に映すことなく、素直に他人のことに高揚する。

天久鷹央の推理カルテIV: 悲恋のシンドローム (新潮文庫nex) 知念実希人

心と密接に繋がった病症が引き起こした3話。小鳥にしか「解決」できないゆったりした事件でした。「本質は意志と行動でつくられる」って一文を目にした時、一つ一つの言葉が現す本質の大切さを今更ながら感じてニヤリとしてしまった。

自分を操る超集中力 Daigo

沢山の本を読んできたのが伺える。あちこちの知識をまとめて解りやすくしていて、多分否定的な意見が出ないと思う。個人的には「机に鏡を置け。自己認識力を高める」てのを真似したい。どんな顔で仕事や勉強してるのか興味がありません?

自分を操る超集中力

自分を操る超集中力

 

天久鷹央の推理カルテV: 神秘のセラピスト (新潮文庫nex) 知念実希人

気のせいじゃ?と一蹴される思い込みの裏にあるすれ違いを暴く。ゾンビ化、若返り、聖痕、とネタは尽きることを知らない。鷹央が目に見えて成長していき、二人のコンビも終わりが近いのかと予感してきた。なんでドラマ化しないのかな?

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UFOがくれた夏 川口雅幸

タイトルから想像できない予測不能な展開。王道ネタがメガ盛りに盛ってあり、既に分厚いけどもっと頁数があってもいい位。むしろ展開の飛びが不明瞭な所があって、深読み解釈をしてしまう。確かに、粗筋は書けない。ラストと解説読んで、書きたかった事に苦笑い。

UFOがくれた夏

UFOがくれた夏

 

冷たい校舎の時は止まる 上 辻村深月

ペルソナ1の雪の女王篇みたいな舞台。重なる8人の罪悪感。人物像がなかなか認識できなかったけど、各人の心の深淵を覗くなかでより深く身近に感じ、自分に符合する人が必ず見つかる気がします。結末が想像できない。

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冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

 

冷たい校舎の時は止まる 下 辻村深月

心理描写が素晴しい。

自分以外の人物の心理をなぜ我が事の様に書けるのか。自分の意識と関係ない所で支えたり傷つけたり、流されていく自分に価値がないと思ったり、8人の主人公が心と向き合って訪れる読後感。キングやペルソナ色が強いと思ったらやはり。

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冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

 

 

西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII 石田衣良

クリスマスや春、夏の終り。事件後の池袋のひとコマが好き。社会事件を扱うルポ的要素が強くて、相手を嵌める仕掛けの痛快さが衰えてきてるかも。「特別な何かを求めるな」と事件より自分の生き方への文章が増えてきた。衰えは、青年期が終わろうとしてるのからか。

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幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex) 知念実希人

密室殺人は透明人間の仕業?人物は限られてるから、犯人よりも謎解きに頭を悩ませた。読んでいた自分の体調のせいもありましょうが、力技で通した感があるかな。緊迫した場面なのに疾走感を感じられず。やっぱり主役が現場に来れないと…です。

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短編少年 伊坂幸太郎ほか

 「彼らはまだ2年間のチャンスが残っている。それを無限だと思っているに違いなかった」柳広司の一節にとても共感。そう、あの時期には永遠があるのかも。でも、少年の整理されていない感情を言葉を駆使するのでなく、精一杯そのままに伝えていた小川糸さんの「僕の太陽」が一番好き。

天使の囀り 貴志祐介

新世界より」を思い出させる現代のバイオホラー。眉間にシワを浮かべながら頁をめくる手は止まりません。無機と有機の距離感を一定に保ちながら本筋のプロットを置いていく。元凶が無機過ぎるのが救いがなくて好き。解説の瀬名さんが書くとおり最高のエンタテイメント。 

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

 

ツバキ文具店 小川糸

始めから終りまで顔にある全てが横に伸びっぱなし。ニコニコ読める本書は屋外では読めないかも。言葉と想いの代筆屋。温かくて瑞々しい描写と、男爵、パンティーなどコミカルな人物呼称。「後悔しないなんてありえない」顔を上げ前を向く話に弱い。図書館本→買いです。

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この胸に深々と突き刺さる矢を抜け上 白石一文

週刊誌業界の日々に対する胃がん編集長の胸の内を語りながら、数多の引用や論評を織り交ぜる形式。台詞も思索も解説もとにかく長いが一挙両得とも感じる。29章「どうせ怖がるしかないなら死ぬ直前に精一杯怖がればいいじゃない」ここ好き。

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (講談社文庫)

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (講談社文庫)

 

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け下 白石一文

1/3以上が引用。それを何十行もの台詞で語る。普通に考えたらありえない。でも酷評したくはない。作者は悶々と解決しきらない疑問を必死に詰め込んでいて、飾らない真っ直ぐさがあるからではなかろうか。本を沢山読んだ果てに訪れるのかも 

夜行 森見登美彦

オモチロイ大学生が鞍馬山で運命の想い人と再会?かと思ってた。どっこい怪談と森見並行世界が入り交じる。読み手ごとに夜の隙間を埋める闇を見出す。闇に抱かれる事は生きるそのものの様な彼の考え方の一端を感じた。ガガーリンが深い闇を見て蒼さを実感した下りが心に残る。

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サロメ 原田マハ

ババン!段落毎に音がする、文字運びが戯曲の連続。韻のとり方が少しダークタワーやVTRに似てるかも。実在のピアズリー姉弟をもとに作り上げた魔性の話。どうやって幕を降ろすのか。耳元にカーテンコールが鳴り響いて、溜息が出る御芝居でした。マハさんの傾向掴めてきた。

サロメ

サロメ

 

よるのばけもの 住野よる

中二のときマイノリティらを無視する同じ現象があった事を回顧した。主人公の葛藤を読んで胸の動悸が止まらない。確かに大人になると皆の仲間意識の外にズレることは厭わなくなる。でも理解不能なものを無視する本質は変わらない。彼の作品で一番頭に残る。只々深い。

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時をかけるゆとり (文春文庫) 朝井リョウ

学生のゲラゲラ笑いが詰まってる。私も構内深夜自転車レースとか馬鹿したっけ。恥ずかしい記録を存分に楽しんだ。中でも自分ツッコミで照れ隠しながらの直木賞受賞エッセイは圧巻です。「文章があれば自分とちがわない。あがりなんてどこにもない」よくぞ吼えた。

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2017年9月の読了 速読の効果

今日も君は、約束の旅に出る 瀬那和章

 約束に振り回され彼は今日も強制転送。

「〜したら〜する」そんな約束をしなくなって久しい。

絶望からそんな約束が彼の想いを超えて繋がりを紡ぎだす。

「別れる前に何でもいいから約束をしなさい。いつまでも繋がっていられる」

今更でもそうしたい。 

展開の熱さにぼろぼろ涙しました。

目が壊れるくらい私の琴線に触れたんです。

でもあまり売れなかったみたいで、中古価格の下落が早かった。

・・・タイトルのせいだと思うんですよね。

もう少しネーミングで売れるのを狙うべきだと思うの。

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虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 伊藤計劃

虐殺トリガーをバラ撒く言語学者と、罪と罰の実感を求める特殊隊員。「言葉は生存可能性を高めるためにある」との論理に納得。終末の解放感に麻痺しながらも、私も生存する罪を背負っているのか、痛覚が麻痺しているのか。言葉による「実感」が生じるのが怖いとすら感じた。

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速読トレーニング 角田和将

本書自体を30分くらいで読了。

2点読みというのをやったら嫌でも文字が頭に入ってくるように…。

「脳には可塑性がある。高速で見られる様になって、あとから徐々に理解力が高まってくる」という迷わず行けよ行けばわかるさ的な本でした。

頭の回転が3倍速くなる!  速読トレーニング

頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング

 

世界から猫が消えたなら 川村元気

「もし最後の回だとしても今あるいつも通りが大切」確かに共感。他にも格言書いてる。でもメモる程でもない。以前読んだ億男とフレームが似てる。比較はいけないけど同系統の「カラフル」「きのうのカレー…」を意識してしまう。初見が本作なら良かったかも。。。 

世界から猫が消えたなら (小学館文庫)

世界から猫が消えたなら (小学館文庫)

 

どんな本でも大量に読める「速読」の本 宇都出雅巳

同じ文章の「3回目で読んだ読み方」が擬似速読である。

ストックがあれば文章は補完される。

わかろうとせず高速回転しろ。

この3つに目からウロコ。

文字を噛みしめるのが礼儀と思ってたけど、小説や教科書ほど、この方法は深くなる。 

どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)

どんな本でも大量に読める「速読」の本 (だいわ文庫)

 

海の底 (角川文庫) 有川浩

本作に溢れている「格好悪いカッコよさ」が良くて良くて。今回とりわけ悪童圭介に引き込まれた。折れ方がわからず突っ走り、毒親のせいにしないで「楽なことを選んだ自分のせい」と屈辱を晒してケジメをとる。尖った生き方の大人達とその原点みたいな悪童。私も襟を正そう。

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何者 (新潮文庫) 朝井リョウ

裏表の切替に豪快に弄ばれた。えげつなくてすっきり。よくぞ人間の優越感を観察し文字にできるものかと。全く同じ経験があったのは私だけじゃないはず。実際に全員いた。「違う場所を見てる誰かの目線の先に自分の中の物を置かなきゃ」夢追いせず手堅い選択を肯定された気分

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ツナグ (新潮文庫) 辻村深月

死者とのつなぎ人。

五話の構成が綺麗なので批評しそうになる。中央の三話目に真っ黒い奈落の底が見えて読了後も怖い。黒い描写がほんと巧い。「自分が見たいようにしかまわりを見ない」ってそんなに悪行なのかよ…。「真実なんか信じた主観がすべて」とまとめられた気がする。

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望み 雫井脩介

不明被害者一人を含む逃走犯たち。それが家族の一人だったら?パンドラのような話で強烈な苦悩が襲い来る。生きてればいい?潔白ならばいい?こんなの仮想体験したくない!どちらも望めないと思って、終わってみればグッタリ…歳取った。家族には「言いっ放し」だけはやめよう。

望み

望み

 

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫) 北川恵海

娘は「ちゃんと選ぼ」息子は「スカッとした」私は「辞めてほっとしたけど、あんな啖呵切れるなら先にやっててもいんじゃね?」…完全にお花畑な職場はない。次に彼が辛いと思っても、まず「対話」するようになっていればと願う。愚痴でも対面で言わなきゃ。

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アルケミスト パウロコエーリョ

海外の寓話って訳す段階で描写がボヤける。だから言葉の美しさや話の展開は求めてない。素敵な人生訓がたっぷり詰まってる。夢や価値観、生業。でも、だからこう変わろう、こうありたいって啓発はされない。夢は適って終じゃないからなーって私の年齢では思う。

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

 

ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野圭吾

映画公開前に読みたかった。一気に読まないと見失う、でもじっくり精読してしまう。実際4時間位だけどそれより遥かに長く読んでいた気分。送受三相の流れが絡む零相電圧の解法みたいな話。理系らしく組み立てた構造。それを認識した満足感が私を支配している。

ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)
 

天久鷹央の推理カルテ 知念実希人

診断、それは地味なイメージなのに手術のような疾走感にクラクラしてくる。会話と話のテンポが絶妙で、アニメか漫画を見ているように映像が浮かんで流れていく。レゾンデートルを語る所、心に刺さった。無敵じゃない可愛さがあるからこそ次巻が読みたくなる。

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)

 

切れない糸 (創元推理文庫) 坂木司

クリーニング屋家業の集配を継ぐことになった和也。「汚れやほつれ」を直していく。和菓子のアン等とのスターシステムがあって笑みが漏れる。取返しのつかない失敗もなくフラットな感情で読める。根を下ろすっていうのも、大切な夢、目標に違いない事を気付かされます。

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天久鷹央の推理カルテII: ファントムの病棟 (新潮文庫nex) 知念実希人

推理主体のライトな前作から、二人の成長でぐっと深みが増す。誰かの想いを受け止める三編。ラストが印象的。かき消えるとわかって呟いた小鳥遊の一言。その切なさ、暖かさ、格好良さに狂おしいほど悶える。この悶えを味わえるなら何度でも読みたい 。

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失われた地図 恩田陸

オルタ恩田の話でしたか…。オルタらしく、まとめる気が全くない(笑)。軍隊の靴音が近いんだと言いたげなんだけど、各土地の歴史をかじっては散らかしていく。「怪」掲載作だから…次作でまとまっていくんでしょう…

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あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫) 原田マハ

アラフィフ独身女性の短編。疲れた心に効く読む特効薬との触れ込みなのだが。もはや後悔すら辞めた哀愁があって、そこに細やかな一瞬の救いがある。6枚の絵のような美しさ。美しい絵ゆえに共感や投影ができない。むしろ私はアラフィフの現実が怖いのだろう。

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絶叫 (光文社文庫) 葉真中顕

私の記憶にある時事、あの時の社会問題が余す所なく盛り込まれ、私は自分を体験する。家族崩壊から始まり、自由を求める彼女の転落は目を背けたいのに掴まれて逃げられない。女の幸せという言葉の幻想を葬り去り、自分を選ぼうとする壮絶な意思。本が脈打つような錯覚を覚える。

 

天久鷹央の推理カルテIII: 密室のパラノイア (新潮文庫nex) 知念実希人

もはや完全にシリーズにハマった自分を認めよう。読むと止まらない。知念さんの作品は、いろんな形で時限を作ってくるから一気読みになる。ここまで役員決議、危篤、異動発令…。犯罪と疾患を織り交ぜるのも正にお家芸。種明かしを純粋に聞けて面白い。

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すべてがFになる (講談社文庫) 森博嗣

アニメと異なり犀川先生の思考がこんなに文章になってるとは思わなかった。当時の作者が考えていた、犀川を通して紡がれる哲学論理に共感する。自分の変化とは?現実とは?思考とは幻想なのか。展開に弄ばれた私の思考は作者の作為なのか…次巻検証せずにいられない。

 

合計20冊 読める冊数が増えている。。。