断酒してなにしてる?

39歳のクリスマスに断酒を誓いました。持て余した時間にこんなことしてるトゥルーマン・ショー

2017年8月の読了 人気のある本に突入

時限病棟 知念実希人

本当に前作からの続編?と思うほどキャラが生きていて、脱出ゲームにのめり込み一気読み。黒幕が見えないのは当然として、当面犯人も見えない方がやはり楽しい。筋が読めたと思わせてから包み込んでくる他重奏に悶えるほど気持ち良さを味わえました。

時限病棟 (実業之日本社文庫)

時限病棟 (実業之日本社文庫)

 

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫) 辻村深月

絶望を内在する希望の楽園。

映画ビーチを思い出した。

入居したい!

「彼ら」を選ばなかった自分はそう思う一方で、現実の自分が選択した目標って何?って重ねてた。

所々の見逃せない言葉を拾いながら、

私は成長の実感を漁ってきて今更飢えを感じてると腹落ち。

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫) 辻村深月

読む行為を通して人の心は影響し合う。

渾身の力で描く物語は、彼らに、辻村深月に堪らなく執着してしまう。

数多の読書で創られてきた著者と今作。

その創作が自分に繋がる。

作中の繋がりは勿論、本作から伸びる全ての繋がりを想って歓喜に鼻の奥がつんとくる。

 

[まとめ買い] スロウハイツの神様 (文庫版)

ホテルジューシー (角川文庫) 坂木司

沖縄夏バイトを通して、真直ぐの彼女が誰かのために何かをすることと自分のために誰かに関わることの違いに揺れる。夢の後処理や一人旅にも踏込み坂木司のパッカー論が垣間見える。就職控える学生がまさに読層だけれど、本書一冊では作者の思う働くは伝わり切らない。

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天帝妖狐 乙一

トイレの落書きに現実が侵されていく、仮面舞踏会。妖狐の話は「面白い話をして」枕元で聞こえるような、希望と絶望が無い混ぜになったような。どちらも集中して一気に読んでしまう。あとを引かない、まさに枕元の話だからやっぱり面白いの一言に尽きる。今度は長編読みたいな。

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)

 

か「」く「」し「」ご「」と「 住野よる

最近読んだ小説は聡明な高校生ばかりだったけど、この蒼さ、私にはストライク。相手の考えに戸惑ったり、自分の感情に悩んだり、遠くまで見透すことができなかった自分が心に浮かぶ。友達は…気軽につるめない年頃になったし、多分もう会わない人ばかりだけど懐かしいな。

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風と共にゆとりぬ 朝井リョウ

朝井初読み。舐めてた。何この男!

5話目の段階で語り口が伝染し始める。

人生の輪郭が見え始めたと言いつつ柔らか部分多過ぎて俄然全部読みしたくなったな〜。「本は世界を見つめる視点を増やす」とか「全てを言葉にしたい」とか宣う。どんな小説ぶるのか楽しみ

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絵はすぐに上手くならない 成富ミオリ

 RTで気になった図書館本。

自分は形状ストックが少ないと実感。

ハッキリ描き過ぎて遠近問わず手前に出てたことも発見。

描くって存在を内に取り込むことなんだな。

ストックしたいものが山ほどあることに気付いた。

絵描きを構成する要素や心構えがわかる。

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んで遠近で濃淡と明瞭を分けて描いてみた↓

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シンデレラ・ティース (光文社文庫) 坂木司

「合わせる努力、沿う努力。ぴったりなんてできっこない」

伝えたいことを1ヶ月の歯科バイトでさらりと著した成長譚。歯に掛けて解く謎かけがニクい。もっと沢山のエピソードを書けるだろうし読みたいけど、それが坂木スタイルなんだろうな…夏に再読したい。

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銀の匙 (新潮文庫) 中勘助

幼年の記憶を大人目線から回想して解釈することなく、視界が狭く不鮮明な子供の感覚まま美しい文章が彩る。漱石が推挙し、灘高が三年間授業で使った意味がよくわかる。110年前に自分が生きて既に他界したかのように、鮮やかな明治が映し出され自己投影に酔う。

女子的生活 坂木司

女子的という意味がストンとくる衝撃で幕開ける異色プロット。際物だと上下をつけたり真実の乱暴な側面だけ切り取って叩いてくるモラハラに対し堂々と前を向いて自己肯定する。「味が同じなら十分。別に『本物』なんて求めてないし」この台詞に込められた本意が心に刺さる。f:id:marsaw:20180323185736p:plain

V.T.R. (講談社文庫) 辻村深月

スロウハイツの劇中作で神様のデビュー作。赤羽環の解説まで含めた世界観に浸れる所に嬉しさがこみあげる。「すべては愛なんだよ」って言葉の裏にはこういう起源があったんだと腹に落ちた。夢中になれる感性で物を見たころの神様が出会えることが一番羨ましいんだと思う。

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また、同じ夢を見ていた 住野よる

切なくて仕方ないのにすべては充たされる。自分のことを多重視点から見つめ直してしまう。読み返すとあちこちに暗示が溢れている。買って手元に置くことにして良かったなと素直に思える。今日も読書をして、まだまだ推敲と添削ができる幸せを噛みしめる。

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サブマリン 伊坂幸太郎

群像劇以外は初めて。罪と罰がテーマのノンフィクションのようだった。自尊心から相手を屈服させようとする人が多過ぎるからかな。心が震えるようなフレーズはないかもしれないけど、陣内の深さが底知れず根拠レスな無敵ぶりは、読み手に何らか安心感を与えてくれる。

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2017年7月の読了 夏らしい小説を探す

ぼっちーズ 入間人間

友達論を展開したかったひねくれた群像劇。最後に人物相関がわかれども、ちょっと複雑。持論がいちいち的を射ている。つるむ相手を選ぶ自由が与えられていて、群れることで安心する、大学生活の核心を絶妙に閉じ込めている。かといって後悔するほどでもなく、読後感は平静。 

ぼっちーズ

ぼっちーズ

 

塩の街 (角川文庫) 有川浩

初めてツイでこの表現を使う

「ニヤニヤが止まらない」とはこのことか。

人目を憚らず、小説で笑う、呟く、唸る、まさに心を鷲掴む作品でした。

漫画?映画?気持ちいい娯楽に出会うと日々が楽しく見えるようになる。芯の強く甘い登場人物たちにならって良い発見が出来そう。f:id:marsaw:20180323175504p:plain

フルーツパーラーにはない果物 瀬那和章

キャラに劣等感を持つ女子たちは何かになりたいと強く願ったことがない。

雪には雪の〜は言葉の呪縛を受け容れたのに対し、劣等感含めた自分を受け容れて前を向く。

夢や渇望の残渣すらないけど、ほっとする話ばかり。

正しい達観なんだけど認めたくないなぁ

フルーツパーラーにはない果物 (文春文庫)

フルーツパーラーにはない果物 (文春文庫)

 

森山 :イチゴ

  • 週末を楽しむために働いている
  • 退屈な仕事だけど、残業は滅多にないし給料もそこそこ。これで不満を言えば罰が当たる p.187

桧野川:レモン

  • なにかになりたいと強く願ったことはない。目の前に突きつけられた選択肢の中で自分が生きやすい方を選んできただけ。
  • ちゃんと向いている場所にたどり着けた p.171
  • キャラ受け入れるしかない。だとしてもみんなに必要とされるそういう自分で有り続けよう。
  • 私が愛していたのは彼ではなかった。
    彼が内側に秘めていた、私が持っていないものに惹かれたのだ。それは夢や情熱や狂おしいほどの渇望や、そこから生まれる自信や気高さだった。もし私が彼を選べは、彼の秘密は少しずつ損なわれてしまうだろう。そのたびに私は傷つき絶望する。やがて彼を愛することさえも出来なくなってしまう。
  • 私たちはみんな自分のことが嫌いで、いつだって誰かを羨んでいるくせに、人生をまるごと取り替えてあげようかと言われると、悩んだ末に断ってしまうくらい自分に執着している。P.332

 

P.332 これがベストフレーズかな。

 

凍りのくじら 辻村深月

半端な距離を保って人間観察をする理帆子は元彼が堕ちてゆく様を見たい。暴走した気持ちを深く理解する一方で極寒の覚めた見方。文章にする作者の源泉は何なのか。濁りのある現実感にのめり込み、興奮の果てにフラグの存在に気付く収束感。物語への飢えを掻き立てる。

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2 (角川文庫) 河野裕

写真に現身を記録する能力。自分の能力が及ばなかった仮定を視る能力。規則性の無い変数を組み合わせて、反則じみた重ね技の発想に辿り着く。作中に出るボブ・ロスの画法に近いロジックなのかな。石になっても好きでいられるか、次巻から本編な予感。

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ラプラスの魔女 東野圭吾

凡人目線の読者としては、全てお見通しな超人たちのご都合主義で「あなたは知らなくていい」とお預け食うばかり。葛藤が薄いし種明かしがそれって…。動機と欠乏症がいまいち合わない。理性なの?感情なの?量産型SFもどきミステリーで好きになれない。 

ラプラスの魔女 (角川文庫)

ラプラスの魔女 (角川文庫)

 

ソードアートオンライン17 川原礫

各国アカウントによる蹂躙を止めるため、自垢消失と痛覚軽減抜きで仲間達が駆けつける。歴代キャラ参戦。嬲り殺しの絶望感を最終前に持ってくるのキツいけど、全ての集大成を纏めようとしてて期待が高まる。本当の自分とは?どんな答を用意してくれるか。

ソードアートオンライン18 川原礫

VRの牢獄と時間の長さ・短さを巧みに使う。
「1秒の長さ」が惜しくなる展開。

気が遠くなり没入した。

記憶はなくなっても気持ちは消えない。VRに明け暮れた少年期は幕を下ろす。デスゲームからの苦悩に思いをはせてしまう。うまい区切りをしたので読後感良い。

 

夏と花火と私の死体 乙一

死体を隠す、それだけの話に、死者も読者にも疑問を挟ませることなく、迅速に処理を開始する。その強引さに微かな若さを感じるけれど、やはり張り詰めた糸に絡み取られる。本作だけで絶賛できるほど書評できない。この後どんなの書くんだ?とヒヤリとした。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

 

 

カフーを待ちわびて 原田マハ

何も傷つけてこないやさしさ。安定した気持ちがいつまでも続く。そういう沖縄離島の雰囲気に最後まで抱かれる。豪業なメッセージを埋め込むことなく、全体のやさしさこそメッセージだろうか。マハさんの作品は、手紙、演説や台詞で毎回心を震わせてきます。

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

 

空の中 有川浩

戦闘機好き設定に陶酔気味な序盤。こんなに対話が占拠するとは想像しなかった。全き1つの白鯨に社会を照らし「間違ったら過ちを認める。相手も許す。折れ所を見つける」という至極当り前の処世術に対し、説教臭さは微塵も無い。ひと夏の成長を鮮やかに頭に描くことができました。

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

 

仮面病棟 知念美希人

読み易い、が精一杯のお世辞。それは個人の主観としても、学芸会夢オチなのかと思うほどの大根ぶり。不自然さで犯人や設定が読めるし、楽しむことも入り込むこともできず。最後も「おーい…」だったので、ブックオフ108円に5冊あったのを納得。読み易いけど…

仮面病棟 (実業之日本社文庫)
 

 

2017年6月の読了 「大切なこと」を探す本ばかり

ソードアートオンライン13 川原礫

VR空間で無類の強さを誇る英雄。「抜きん出ることの甘美さに深く魅了されていた。強さを誇示せずには自分というペルソナが保てなくなった」今まで目を背けていた本音が語られていて目が離れなかった。特別な何かを失くしたらどうなるのか?終わり見たい。

ソードアートオンライン14 川原礫

常に勝ち続けなければ全てを失う自己像のイメージ。特別な何かを失くしたら、弱さを肯定して繋げるだけ。諦めることに慣れてはいけない。中年になった社畜人生と重なってゾクゾクする。まさに今読むべきタイミング。この決戦は映像化したら繰り返し観る。

花魁さんと書道ガール 瀬那和章

恋愛という想いに内包された心を紐解く、恋愛相談ミステリー。春風さんに憑依され恋愛相談を受けるうち、自らの想いも書とともに成長する。楽しくて面白い。最終的に言葉が集まってくる構成も好き。瀬那さん2冊目、やはり文章が優しくて私と相性が良いみたい。

鹿の王上巻 上西菜穂子

魔法も亜人もない、医療、政治、宗教など現実感満載のお伽話。頁が壮大で進まないなと思ってたのに、上巻終ればあちこちのワンシーンが目に浮かぶ。読書中、私事の訃報もあり、身体と魂の主導権のくだりで眠れない日々を過ごした。下巻で絡み合う螺旋の行方が楽しみ

鹿の王下巻 上橋菜穂子

体の中で起きることを魂は知らない。もののけ姫のような舞台で感染症を扱い、共生という仕組を、人間関係から国、民族に到るまで幾重にも織り込んでいて宇宙に突き抜ける感覚。下巻は黒幕や各勢力の事情で読み手の立ち位置の補正が繰返す。その揺さぶりが気持ちよかった

  • 宗教観57自分たちが思いたいように思わせてくれる神が、都合の良すぎる方便であることを、彼らが認めることはないだろう
  • 271我が身の中で為され、そうやって生かされているのに私の魂はそれをいままで知ることがなかった
  • 500言い訳はいくらでも見つかる。理屈はいくらでもつけられる。医術のため後に人を救うためてあると思うことができれば。だが、そのときは、自分のとてつもない傲慢さから見をそむけているのではなかろうか。
鹿の王 上下巻セット

鹿の王 上下巻セット

 

アンと青春 坂木司

和菓子の魅力前面の前作から、働くこと、大切なこと、進むべき道という核に悩む。

 

誰しもの悩みに著者なりの優しい捉え方。

包むこと、違う常識、不平等など食べ物を交えるから素直に頷ける。

 

終盤、食品不安から甘酒の謎掛けに繋げて解説でほどける。粋過ぎて歓声を上げた。

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アンと青春

アンと青春

 

言葉の一つ一つが秀逸すぎます。。。

空の春告鳥
30 日本らしさは、包み込むこと。相手を尊重していいところはどんどん受け入れる。ただ真似するんじゃなくて自分たちなりのアレンジを加えて包む。それってすごく素直でのびやかな感覚。いいな、美味しいなって教えてあげたくて、文化って伝わるものでしょ?
女子の節句

59 パフェ、縁結び、パワスポ、和風雑貨、豆腐料理、和菓子。

つまり、京都は女子の都


84 私は接客を舐めてた。

愛想がいいのは知識や技術のなさを笑顔でカバー、フレンドリーは敬語が完璧じゃないから。嫌な客は笑顔でスルーして本気で相手の話を聞こうとしていなかった。その場限りだと思ってたから。バイトだから助けてもらえると甘えていた。クレーマーにも一部の理。理由は小さくとも個人的でも一度は伺うべき。

113 世の中にラインが一杯ある。

考えなさい、あなたはどうなりたい、どう生きたい、どういう場所に立ちたいの?

属している立場に悩む。でもみんな同じ。

プロは先を言ってるだけで私達か劣っているわけじゃない。

男だって弱いやつはいる。

男女でくくらないほうがいい。

世界が狭くなる。

人は平等じゃない。

そう思ったらどうでもいい。

比べる意味がない。

 

119 違う常識も認めるべきじゃない?

違うって切り捨てるんじゃなく。

だからきなこカフェオレ、黒糖ホットミルク飲もう


男子のセック

153 学校へ行けば資格は取れる、でも夢は教えてもらえない。何になりたいか何になれば喜ばれるかいまだにわからない。せめて誰かに喜ばれるものになりたい。でもどれにもなれていないからせめて目の前の仕事をきちんとやってお金を稼ごう。働くしかない。何かをしていると安心。でもごまかしなんでしょうね。働くのが好きなんじゃない。言い訳がほしいだけだ。

甘いお荷物

315 甘酒で元気を出してもらう栗はね、食べ進むと出てくるご褒美っていうか嬉しいもの。自分にとって大切な。それが核になってるんだ。進むべき道に悩んで。でも真ん中にはいつもそれがある。


317 敵情視察からの宣戦布告、みたいな。梅本さん、開けない夜はないぜよ。


318 私にはたぶんまだ核がない。簡単に揺らぐしいつまでたっても自信がない。いつか見つけたい。大切なもの、それがあれば大丈夫だと思えるもの、嬉しいもの。そうなればきっとまっすぐ歩いていける。それが見つかることを祈って私ピクリと栗を頬張る。うん。おいしい。

ソードアートオンライン15 川原礫

自我が吹き飛んでしまったキリト。負荷実験が始まるまでの静かな巻でした。現実での魂の奪い合いがVR空間に場を移す。現実の語り部がいないためか、VR空間のキャラにいまいち切迫感がない…。中年の心を揺さぶるものは残念ながらなかったです。しょぼん。

神酒クリニックで乾杯を 知念実希人

能力集団と医者を結びつけるカッ飛んだ設定が独特でクスクス笑いながら楽しく一気読み。知念さんの作品は脳内説明が最小限で会話に重きがある気がする。読みやすい文章だしキャラ作りも嫌味なく完成図面のように感じる。謎を引継ぐ適度さも計算してます

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神酒クリニックで乾杯を (角川文庫)

淡雪の記憶 知念美希人

そこまでのスリルは無いけど飽きないテンポ。2時間ドラマのシナリオのように視聴率を計算したエンタメだな〜と賞賛したい。スピード・美術狂の真美さんがあってこそ、ただの能力集団にならないヌケがありそこが愛すべき所だと思う。医療シーン少なすぎて、もはや探偵…

サクラダリセット1 河野裕

何かを救うため皆から3日間を奪う。感情を押し殺したかのようなキャラ達。無音で透き通った雰囲気で死すらも冷静に捉える。その限りない思いやりの根底をどのような言葉で紡いでいくのか今後楽しみ。思春期らしい「眠くなるための意味のない会話」も密かに期待。

猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1 (角川文庫)

本日は、お日柄もよく 原田マハ

言葉で場を一変させる職業への好奇心から自らの可能性。十代で読んだらカブれてた。


言葉で人の心を動かすことはできる。

その後の約束はどう果たすんだ?

口先で扇動したことにならないか。この小説で書かれた史実を経て震災を乗り越え公私ともに言葉に裏切られたなと想い返す。心のあり方、有言実行の方が言葉よりも大事ではないかと。言葉で人を幸せにする。話したいことを話させる。そのくらい。今の仕事を通じて人を幸せにしたい。

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)
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君の膵臓を食べたい 住野よる

この二人の面白さの拾い合い、相手への深い憧憬。突拍子もない標題の意味がしみ込み、対岸からも染まった時、標題が熱を帯びた振動になって胸の奥を震わせた。回想がぐるぐる去就してきた。そして訪れるこのすがすがしさ。予想出来なかった。何度でも読みたい。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

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昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

テツコの住む家を中心に、過去〜現在の周囲が短編で絡み合う。短編だと思ったら、真理を達観せず、こんなに前向きな死生観があろうとは。些細な日常への肯定感を与えてくれる。歳をとること、時が過ぎることに不安や焦燥を感じたら、迷わず本書を再読したい。

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