断酒してなにしてる?

39歳のクリスマスに断酒を誓いました。持て余した時間にこんなことしてるトゥルーマン・ショー

2018年3月の読了 苦悩してたのかも?

3月の読了を振り返ると

「苦悩してなのか?」

というくらい。

痛快な小説が欲しいわね!

ときどき旅に出るカフェ 近藤史恵

後戻り出来ない?まだ間に合う年頃?の瑛子が見つけた”無くてはならない”多国籍カフェ。現実にこんなカフェが近所にないかなと既に探してる。作中に漂うこの居心地の良さがあるならば、どんなに続編が続いても未知との出会いに憧れて読んじゃうだろう。 

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いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則 秀島史香

grooveline時代から史香が好き!タイトルが啓発本に見えるけど、ラジオDJの体験小話です。初めこそ笑顔、目線…で始まったけど、集団の会話に乗っかるために彼女なりに気をつけるてことを中盤からメモりまくり。雰囲気を作るとは彼女らしい。

  • 事実はひとつ。解釈は自由。心地いい解釈を。
  • 会話の糸口は「相手の身に着けているもの」。相手をみることにも通じる。

この言葉は手帳の裏表紙に書かせてもらってます!

マラソンは毎日走っても完走できない 小出義男

距離を延ばす事に徹して成行で走ってきた。練習の練習ではなく、マラソンの練習とは「脚を作ること」。監督は俺様理論は振りかさず、選手の褒め言葉で説得力を持たせ、読者の潜在能力を本人よりも信じている。人柄が伝わり元気になれる。靴代替り

 

考え方 稲盛和夫

世の中に名を残したい、世に評価されるような何かを成し遂げたい、それこそ人生の一大事だと思うなら方向性が一致した人達なんだろう。家族の自己犠牲は間違ってないし、仕事を家族に懇懇と聞かせ一体感をもたせたから問題なかったという文章にドン引き。仕事なきゃ空っぽだよ。

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先生と僕 (双葉文庫) 坂木司

年配の先生と少年かと想像してたら、少年先生と大学生という想定外のキャスト!そして、古典ミステリにインスパイアされた日常謎解きという予想通りのほっこり。2人の休日の過ごし方が私を癒してくれる。何も考えずに流れに身を任せて安心出来る、という本も稀有だ。

僕と先生 (双葉文庫) 坂木司

定期的に坂木ワールドに浸ると心がニュートラルに戻る。手を伸ばし続けたい、人を信じたいという著者の根底は不変。「名探偵はとにかく喋る。無言の欲求はコミュニケーションの手抜きだ」「でも1度で切り捨ててしまうのは受け手の手抜きだ」そんな自然な言葉が胸に染み渡る。

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち 田中圭一

認知の歪み、支えの喪失などから鬱になった著名人含む15人の体験漫画。多分そうだと思っててこの本を読みたかった。程度の差こそあれ、3年前の自分が作者と同じプロセスで被害妄想を持っておかしくなったあれは鬱だったんだろう。寝込んで休まない鬱もあると初めて知った。

最終便に間に合えば 林真理子

33年前の直木賞受賞作。女の言動の内側にある妬みと嫉妬をさらけ出し、駆け引きという背伸びをして何か憂さ晴らししたい見栄っ張りな女が次々に出てくる。その実態は、当時31の著者の年齢で想像する「恋愛」をしたいという憧れが具現したものかもしれない。

新装版 最終便に間に合えば (文春文庫)

新装版 最終便に間に合えば (文春文庫)

 

ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250 堀正岳

text expander。毎週金曜に音楽を買って新鮮な世界を呼び込む。scansnap。lynda講座。この辺が初耳だった。読んでメモって調べて。しっかり吸収させてもらった。良い本はインスタントだから情報が廃れる速度よりも循環が早い。悲しいサガかな。

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妊娠カレンダー 小川洋子

静かなる狂気。なんだかよく解らない。わかった気になれない。どこに向かうのか、どこでピリオドを打つのか。それが予想できなくて私は解釈をせずに引き寄せられる。想いの曖昧さはやはり芥川賞らしい。

妊娠カレンダー (文春文庫)

妊娠カレンダー (文春文庫)

 

リバース  湊かなえ

親友だと思っているのは自分だけかもしれない。鏡に投影する彼ら自身に私自身も投影する。胸の詰まりが開放される過程の只中では脇目なんてとても無理。カタルシスを感じて綿密に練られたあそこにスコンと着地する刹那、この先は嫌だと今更気付いても、もう遅い。痛気持ちいい。

老いの僥倖 曽根綾子

これまでの曽根さんのダイジェスト大全。40,50,60の過ごしてきた持論が層をなした1冊。この1冊があればどんな境遇でも惑わず煩わず進めるんじゃないか。どれだけ人を理解出来るか。変化していく自分と人間関係を味わい、心の振れ幅を楽しむ。うん。意外と理解してるかも。

百貨の魔法 村山早紀

あなたの記憶の百貨店がそこにある。私にとっては大宮そごう。できすぎた奇跡の話だろうと、ぱあっと幸福感と懐かしさが溢れて、形が定まってきた何かに胸が温められる。創作のせかいってやっぱり楽しいものです。御伽話みたいな、話だけれど。そんなのも素敵じゃないか。

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銀河鉄道の父 門井慶喜

虚栄心を持つことなく、精一杯に父であろうと、ともに成長していく政次郎。政次郎本人が綴るよりも父らしく、著者の父子像はおそらく真実よりも血が通う。自分はこんな父にはなれていない。うるさく支配することなく、不問に付すことの難しさは痛いほど思い知るばかり。

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最後の息子 吉田修一

切り取られた日常に突然放り出される。あっという間に流れに捕らわれる。そこには不穏な影が見え隠れし、私の視点は、自分の過去を重ねるでもなく、登場人物への同化もせず、カメラファインダーのように付かず離れず追いかける。全てを見透かす透明感が印象的。気持ちいい。

最後の息子 (文春文庫)

最後の息子 (文春文庫)

 

 

終電の神様  阿川大樹

熟練の文章力を感じる、と思って調べたら還暦を超えた作者。各キャラの設定が様々で、引き出しの多さを伺わせる。短編どうしを明確に結ばないのは別にいい。盛り上がらなくてもいい。表紙、題名、中身がちぐはぐな点だけ、出版元さんの演出だけ突っ走った感が否めず気の毒。