なだは、射程距離内に入ったぜ

40代になると人生の射程距離が見える。でも、今日も伸ばしてみせる。出しな、お前のキラークイーン。

2017年12月の読了 大団円!

裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII 石田衣良

物事を切り取る言葉が冴え渡る。炎上を「俺たちは正義の力を行使するのに酔うようになった」と表し、中年やシングルマザーの問題をその言葉で切り取る。今作からかな?弱者を助く勧善懲悪から、依頼者を奮い起たせるサポートに徹している。そこが好き。

校閲ガール 宮木あや子

ノリが良くて暴れまわる。ドラマ初回だけ見たけど小説の方が良い感じ。不安や対人関係の悩みなんて「馬鹿なの?」と一蹴して吹き飛ばす芯のある女子。黄昏れたり哀愁する自分が馬鹿に思える。すごい元気をもらえる。最後のまとめも巧いんだもの。で、早速、次巻を買った。

校閲ガール (角川文庫)

校閲ガール (角川文庫)

 

([と]1-2)あん (ポプラ文庫) ドリアン助川

中年で迷ったら読めとのフレコミ本。製餡が人を結び、彼らの存在は私達の視点で浮かび上がってくる。叫ぶ詩人が書いた「まさに叫びたかった詩」がわかったとき、一気に走馬燈が廻り、じわり、自分の見聞きする世界の捉え方が変わる、とさえ信じられるようになる。

 

 

うわぁぁぁぁ…ホントに載ってた! コンビニ人間の読了ツイ。 4行も〜ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧* なだではなく、読メ垢の風速緋白の名義ですが私です。 ダ・ヴィンチ1月号p194より

桜風堂ものがたり 村山早紀

本と人が「命を生きること」を伝え合う。語り視点に応じて物語のスピードが緩急入り交じり、書店員視点が実にドラマチックな躍動感を生む。本を売る。皆で恩返しする。本屋という場所に自分は無知過ぎた。本屋でこんなにも胸熱い歓喜と幸福感に満たされるのは快感です。

劇場 又吉直樹

嫉妬まみれの思いを隠すどころか客観視しながら演劇のように幕間を端折って展開していく。批判させない防衛線が、最低男による緻密で冷静な自己分析という形で張られている。又吉初読みなのだけど「2冊目が怖かった」TV談の通り、焦りや顕示欲が自分に伝染するように感じられる。

反応しない練習 草薙龍瞬

無宗派僧侶が書く哲学。珠玉の言葉は手元で何度でも読みたい。原始仏教は悩みに対する超合理思考であるとは知らなんだ。よく私が読了趣旨にする「自分の特別な何か」の理屈と解法がある。集中や充実感という快を大切にすること、承認欲に支配されないことが見えてくる。

 

子どもたちは夜と遊ぶ上 辻村深月

留学を賭けた論文選考を、匿名論文が略奪する。匿名のiアイは誰か?二重人格を含め全ての人物が疑わしい。誰であって欲しくもない願いを抱く。えげつなく容赦のない筋書き。生半可な黒じゃなく微細に至るまで徹底的な残酷さ。むしろその黒光りに頁が止まらない。

子どもたちは夜と遊ぶ下 辻村深月

殺人ゲームを中核に、iの謎解きをする一方、世界と決別するθを追う。最悪の方向にしか進まない筋書きなのに、遠ざける事ができない。まさにejθ。近付いたり離れたりする人間の距離感が最後に解かれ、過激な物語は暗喩に昇華する。なんなの?この後味の良さ。

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (上) (講談社文庫)

 
子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)

 

何様 朝井リョウ

「妹の声を生む塊を落としかけた」等の無機比喩で極めて冷静に内面を吐露する何者節。皆の内面がこんな理知だと恐ろしい。とりわけ標題になった最後の短編が響いた。「誠実への一歩目になる本気の一秒」が熱い。社会に出た誰しもが腹を括る瞬間がそこにある。現実はこの連続だ。

ソードアート・オンライン20 ムーン・クレイドル (電撃文庫) 川原礫

どう仕舞いたかったか、執筆に到る動機づけは何だろう。あとがきから読めば感想は変わったかも。設定の綿密さでなく、純粋に初期のような創作を世に問うシリーズが私は好き。設定解説は聞けるけど、憑依する感情が、見つからない。残るものが、掬えない。

機械仕掛けの選択 サクラダリセット3 (角川文庫) 河野裕

何気ない会話の裏にあった菫の胸の内や、ケイの行動原則を知るプロローグの回。意味深い例え話が出てくる度、じっくりと行きつ戻りつ反芻して、心は何処かに旅してしまう。アンドロイドの問いかけを経てはじめて、登場人物らの感情の表裏が見えてきた。本編が始まる。

さよならがまだ喉につかえていた サクラダリセット4 (角川文庫) 河野裕

本編かと思ったら断片集。そんな大事な伏線回収ではないけど、とても温かい気持ちで納得感を味わうことができた。特別収録のホワイトパズルが秀作すぎ。貪る様に文字を追いかけた。時間制限のある恋愛ものって、こちらの感情も先行して記憶を刺激してくる。

片手の楽園 サクラダリセット5 (角川文庫) 河野裕

能力x策略の展開が薄くて、幸せを求めるテーマ作は巧く感想を紡げない。とにかくリセットで泡となる春埼の感情が儚い。なんで本人の意向を無視して夢模擬するのか、春埼のために?菫をどうにか考えるばかりか。最後は想いを無かったことにしない結末であってほしい。

少年と少女と、 サクラダリセット6 (角川文庫) 河野裕

他人の幸せを願う深い想い。想い人の全ての幸せを守るためなんて…恋とか愛とかの言葉にならないこんな想いがあるのか。会話一つ比喩一つ全部無意味なんかじゃなかった。受けた衝動に、暫く頁が止まった。想いの行き先は何処へ。全てを担った彼に身震いが止まらない。

少年と少女と正しさを巡る物語 サクラダリセット7 (角川文庫) 河野裕

伏線を巻き込む暴風のような展開。あらゆる理想や恋心を全部ぶち込んでるのにグイグイ読ませる。私に刺さった理想は、ケイが見つけた「幸せだけが生まれる場所」。誰かの幸せを願うことは自分を幸せにする。誰かに見られることで自分を見る。忘れていたかもしれない。

凍える牙 乃南アサ

今更ながらの、21年前の直木賞で初読み作家。男女ペアの刑事もの。テンポよく徐々に信頼関係が出来ていく。元白バイ隊員の見せ場に、こちらも走り出したくなる爽快感が味わえた。この爽快が味わえるなら…と、シリーズを制覇してしまうかも。そのくらい癇に障る所が全く無い。

凍える牙 (新潮文庫)

凍える牙 (新潮文庫)

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫) 辻村深月

最後までドキドキしてたまらなかった。すべては自分のためなのか、他人のためなのか。行動や感情が湧き出す源泉が整理される講義の度にこちらが逃げ出したくなる。最後まで連れていってくれたぼくの心の内に思いを馳せて、安堵の心地良さに満たされる。