2019年1月の読了 出張族
出張中、飛行機・新幹線・バスからの読了ばかりです。休日となれば寒い中で189歩/分にこだわるランニングピッチを試して感動して…有り余る元気さ。
そんな1月に何度も遭遇したのが早朝の荒川にたちこめる「けあらし」。
秘かな感動の光景です。
- サピエンス全史(下
- 向日葵の咲かない夏 道尾秀介
- 幻想郵便局 堀川アサコ
- 会社人生を後悔しない40代からの仕事術 石山恒貴
- きらきらひかる 江國香織
- 言葉にできるは武器になる 梅田悟司
- ひとつむぎの手 知念実希人
- 人間の顔は食べづらい 白井智之
- 紙1枚!独学法 浅田すぐる
- 速読ナビ 松田真澄
- 12人の死にたい子どもたち 冲方丁
- イラスト解体新書 ダテナオト
- いなくなれ、群青 河野裕
サピエンス全史(下
人類史が紐解かれ最後に問われるのは「結局それで満足したの?」という幸福の問い。でも、我々は、自分が何を望みたいのかもわからない、不満で無責任な神々である。流れに身を任すしかないにしても、幸福の問いをいつまでも自問し続けることは、せめてもの義務であろう。
向日葵の咲かない夏 道尾秀介
早く通り過ぎないといけない。徐々に心に黒い雲が拡がるような、穏やかな狂気と邪悪さがある。違和感が確信に結実する瞬間の気持ち悪さよ。物語はあくまで物語にしないといけない。自分だけの物語をつくることの恐ろしさを自分に重ねてしまった。
幻想郵便局 堀川アサコ
結合力の弱い断片がふわふわ漂っていて夢見な前半から、一気に現実に向かって寄り固まるような。行間を結びつける結合力が私には足りないかもしれない。結びつけようとすると自分の思い出へと意識が遠のいてしまう。でも、心は休まるかな。
会社人生を後悔しない40代からの仕事術 石山恒貴
衝撃のまえがき。雇用体系の無慈悲な真実、年功逆転やポストオフ。それらが絶対に起こる前提で、個人ができることを冷静に統計分析する。PEDAL行動の大半は出来ていたが、淡い期待を否定する断言が何よりのメッセージ。それは諦念ではない。
きらきらひかる 江國香織
脛に傷持つ者同士の夫婦。見返りに相手の気持ちを求めず、欲しいのはそこに居ること。子供がいない状態のかつてあったひとときの「か弱さ」に、心がトリップするような感傷に浸った。あ、それを恋愛と言うんだっけ。とにかく男女3人の三角関係って細かいこと抜きに好き
言葉にできるは武器になる 梅田悟司
ブックオフにある在庫数から類推すべきである。この本の低い評価に目を向けてから読むべきである。それ位不可思議な需要がある。何度同じ話の例え話シリーズに目を通さないといけないのか。章に構成力の欠片も無い。目次で解らなかった私が何を言うか。
ひとつむぎの手 知念実希人
あの人のような心臓外科医になる。その夢を追い続け嫉妬と諦念にまみれ、どんな状況でも彼は足掻く。なのに素の彼は泣けるほどカッコイイ。終盤は本が膨らむような重たくなるような、胸に渦巻く焦燥と絶望に息が止まりそう。中年が抱える感情がみっちり。ご馳走様です
人間の顔は食べづらい 白井智之
先に進むか立ち止まる。一瞬でまた進む。奥深く論理が絡まっていて著者のミステリ好きさがよく分かる。標題に偽りなく、グロやエロや謎解きが肉付き良く覆ってるんだけど、削ぎ落としたら芯に温かさ。人間臭いじゃないのさ。この芯に至るまで進んできて良かった。
紙1枚!独学法 浅田すぐる
要約力を求めた読み始めでの酷評は大興奮に変わる!最後はブラボーで終わる!学びの本質と需要を常に中心に置き、端的に論理を呼び醒ます方法がここにある。要約とは小手先ではない。「自己実現は自己完結ではない」とする学びの世界観がとても刺さってくる
速読ナビ 松田真澄
読了まで9年もかかった。前半の目の動かし方で挫折していた。後半に書いてある認識速度、記憶速度、覚醒速度のテストとトレーニングが楽しい。ただ、高速要約というテストで読解力の低さに凹む。現在、1分間1400文字。文庫2ページ。手の届くスキルだという実感が得られる。
12人の死にたい子どもたち 冲方丁
人間なんて皆異質同士。それでも、言葉はそんな事情はお構い無しに流れを作る。集団安楽死に生じた想定外のアクシデントに端を発し、疑い無く心残り無く死ぬための人生最後のミッションが発生する。互いの流れを読む入れ替わりに舌を巻く。死は存在を考える事也
イラスト解体新書 ダテナオト
数あるイラスト本の中でも順序だって書かれている良書だった。人体の線分比率を緻密に解体した設計指南書とも言える。とりわけ、毎日描く動機づけを与えてくれる。hontoの電子書籍で持ち運べるよう、購入決定です。
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いなくなれ、群青 河野裕
階段島にいたら、自分はどんな人間だろう。きっと臆病だろう。今はそんな自分を好きだと言える。青春期に抱える言葉に出来ないはずのモヤモヤ。自分と折り合いをつけることを、澄み切った言葉が具象化してくれている。詩集みたいな、その羅列を持ち歩きたくなる。