なだは射程距離内に入ったぜ

40代になると人生の射程距離が見える。でも、今日も伸ばしてみせる。出しな、お前のキラークイーン。

2018年6月の読了 読めない月

7冊!? 断酒してからこんなに少ない読書冊数は初めてです

仕事が切羽詰まったのと、ロードバイク通勤にしたからなんですよねーーー…

今月は騙し絵の牙が面白かったですね

事あるごとに話を思い出してしまうくらい心に刻まれたようです

 

福袋 朝井まかて

落語と現代語が入り交じり、キリリ、スッキリした読後感で尾をひかない。なのに読書中はその人間臭さに自分の感情が湧いて、登場人物に対して無用なまでの好き嫌いを感じている。長編になるとどのくらい掘り下げてくるのか気になる。 

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冷たい密室と博士たち 森博嗣

素晴らしい!全く歯が立たなかった。綿密に構築された論理と、解き明かされる過程での誘導。裏の裏は表とは。そのフレーズだけでこの本を思い出すだろう。理系人間が論理回路を無限に弄り回し、なのに動機はどこか文系的に儚く。シリーズ何冊も続くとはまさに僥倖。

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たゆたえども沈まず 原田マハ

ゴッホ兄弟の苦悩に生を与える。アートの背景を知らしめる点で好奇心が満たされる。ただ…この有名な素材をピュアに料理して、伝記止まりになっている点。サロメもそうだった。伝記創作には謎や転換要素が無い。お門違いかもしれないけど物足りない。楽園Lv欲しい

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この嘘がばれないうちに 川口俊和

亡くなった人に逢いにいく4人。過去を変えるのではなく何かを伝えるために。自分が変わることに気づいた前作に対し、故人を幸せにすることに気付く今作。4人が気付く「故人を幸せにする方法」とは。相手のためにひた隠すその願いと答は、ほっとさせてくれる。

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騙し絵の牙 塩田武士

大泉洋を当て書きに出版不況を現在進行で実況する。公私の存続に奔走する雑誌編集長速水の人生の歓びと喪失を同化体験。現実に戻れて心底ホッとする。罪の声同様、心理的駆け引きでの動作や言葉の機微が瑞々しく、没入感と後引き感は外れ無し。騙し絵、標題は予想もできない

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サピエンス全史(上) ユヴァル・ノア・ハラリ

人間が動物と一線を画するのは虚構という存在を生み出し大量の人が共同作業をすることにある…多分そうなのだろう。国も組織も物語もそれらは実体がない。序盤で心を掴み、中盤は弄び、最後は統一に向かう世界を帝国のサイクルに重ねてくる。どうしようもなく納得してしまう

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小説家の作り方 野崎まど

些細な設定から展開が連なり、膨大な選択肢のある空間に拡がった後、綺麗に折り畳まれる。作中にある通り「基準を作り、それを守り、時にそこから逸脱する」。読者の受け取り方を軸にして、プロットを練りに練る、そんな心遣いのある作家さんだなと感じる。推しである。

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