2017年11月の読了 初読み作家をむさぼる
- 正解するマド 乙野四方字
- 幸福な生活 百田尚樹
- 和菓子のアンソロジー (光文社文庫) 坂木司ほか
- コンビニ人間 村田沙耶香
- ソードアート・オンライン19 川原礫
- スーパーカブ (角川スニーカー文庫) トネ・コーケン
- スマートノート 岡田斗司夫
- コーヒーが冷めないうちに 川口俊和
- みかづき 森絵都
- 流 東山彰良
- クローバーナイト 辻村深月
- パーマネント神喜劇 万城目学
- ヴァン・ショーをあなたに 近藤史恵
- 祝言島 真梨幸子
- 京都あやかし絵師の癒し帖 (スターツ出版文庫) 八谷紬
正解するマド 乙野四方字
原作アニメも野崎まども知らないのに窓の表紙に手を出した。合わせ鏡の白い宇宙だった。SFメタってこういう面白いのもあるんだと唖然。読めばわかるけど、やっぱり破り捨てないといけないかと振り返ってしまう。作者がリスペクトする野崎まどの本を読みたくなった。
ちなみに。。。
野崎まどを読む順番。この小説は、これ単体で読むよりもふさわしい。
- アムリタ
- 舞面真面とお面の女
- 死なない生徒殺人事件
- 小説家の作り方
- パーフェクトフレンド
- 2
幸福な生活 百田尚樹
ラスト一行であっと言わせるショートショート。構成作家らしい小話の連続。乗り物の待ち合いとかにちょうど良いかも。昔はこういう文庫ばっかりだったような錯覚?怖い女の話ばかりなのが個人的にちょっと嫌でした。またかよ、みたいな。好みの問題だけど。
和菓子のアンソロジー (光文社文庫) 坂木司ほか
やっぱり食と記憶の結びつきは強い。短編で作者がバラバラにも関わらず、話がいつまでも頭から離れていかない。中華菓子、どら焼き、葛、松露、淡雪羹、夜船、練切り、遠山餅、黄身時雨、七夕。文字で残しておくだけでストーリーは甘く蘇ります。
コンビニ人間 村田沙耶香
社会や一般的というものの残酷さ。自分であることの存在意義。コンビニという完全性。短い芥川賞の範囲で全部表す。誰しも抱いたはずの「異物にならないようちゃんと生きなきゃ」がジクジクと抉られて…。必死に生きるすべての人間に問いかける。唸るしかない。
ソードアート・オンライン19 川原礫
前回読了から1週間…超細切れで一冊読み終わった。感想、書きづらいなー…。後日談のプロローグ。数あるSAOシリーズでもこの巻の意義がまだ呑み込めない。次巻ですっきりさせてほしい。
ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル (電撃文庫)
- 作者: 川原礫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2017/04/09
- メディア: Kindle版
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スーパーカブ (角川スニーカー文庫) トネ・コーケン
孤児になった女子高生。奨学金で細ボソと生きる中、通学の足でカブに出会う。読めばカブが欲しくなる麻薬のような本。気軽に持てるカブの良さが、淡々とした日誌体から静かに、控えめに出ている。「ずっと持ち続ける!」私もそう思ってたのになんで手放したかなぁ。。。
スマートノート 岡田斗司夫
「B5ノートを見開き、右から書け」ふざけんなと思った私が、今日も脳内ループを素直にノートに吐き出す始末。強い主体性こそがこの本の主旨。衝撃的な一説「現実世界では只の人。電脳世界は自由をくれるけど均質な無価値さを思い知らせる。ノートにあるのが脳内世界」
コーヒーが冷めないうちに 川口俊和
コーヒーが温かい間だけ過去に帰れる。原則は過去は変えられない。でも、自分の振りかえり次第で心や未来や捉え方は変えられる。短い会話のぶっきらぼうさが中盤から深みを増す。脚本家らしく多くを語らず。コーヒーを飲んだ後の一服感がふんわり残る
みかづき 森絵都
理想教育を目指す大島一族。この巨編には人生の数多の煌めきがある。理想に見切りをつけることも、足掻くことも、目的を見失うことも、凪いでいくことも。最後に月が満ちるその時まで、欠けている自覚を持って、私も自分の道を満ちよう。不条理に抗う力は私にも授けられたはず…!
流 東山彰良
台湾で生まれ育った国民党戦犯の孫。少年期から青年期に流れていった思い出の断片。それらの物語からキャラが飛び出してくる躍動感。受け取ったメッセージはよく分からない。だけど、皆で輪になって話を聴き入りたくなる。噺家の話術のように惹き込まれて、楽しい時間をもらった。
クローバーナイト 辻村深月
保活、お受験、誕生会、子育てエッセイの様相が徐々に胸苦しさに変わる。やはり辻村深月。子育ての今だからこそ、今の気持ちを未来の自分へ遺すかのよう。最終話に出てくる際限なく膨らむ親からの干渉というのが他人事ではない。育てさせてもらっている、お忘れなく。
パーマネント神喜劇 万城目学
トヨトミ以来何年ぶりだろう?万城目さん。長編ではなく、雑誌掲載(しかも2010と2016年)の短編でした。出版の間も空いていたから薄々予想はしていたけど…出版社さんの編纂の意図がよくわかんない。満を持して書いたもの、が読みたい。
ヴァン・ショーをあなたに 近藤史恵
シリーズ第二弾。名物ホットワインレシピの由来が題名です。店の中での謎解きに留まらず、パン屋、仏の修行時代など、ビストロの外を舞台にした「動」にするだけでこんなに開放感が出るとは。別の作品みたいに楽しい。近藤さんは海外での物語が秀逸だと思う。
祝言島 真梨幸子
初読み。初嫌ミス。揺られるままに読み進め、グチャグチャな糸を解き解す作業を初めて体験。読後、話の構造設計に深いため息が出てくる。最後まで筋を読ませないあまり、感情が汲み取れない異様な人物ばかりになったところが、物語というよりも建築作品たる所以でなかろうか。
京都あやかし絵師の癒し帖 (スターツ出版文庫) 八谷紬
会話の間や続きから気持ちを察する登場人物の掛け合いに、自分の心まで慈愛に満ちてくる。設定自体はいろんな他作品の要素を煮込んでるように見えるけど、オリジナルに昇華してる。思い遣りとは少し違う…相手を受け容れる広さが清々しくて気持ちがいい。