なだは、射程距離内に入ったぜ

40代になると人生の射程距離が見える。でも、今日も伸ばしてみせる。出しな、お前のキラークイーン。

2017年7月の読了 夏らしい小説を探す

ぼっちーズ 入間人間

友達論を展開したかったひねくれた群像劇。最後に人物相関がわかれども、ちょっと複雑。持論がいちいち的を射ている。つるむ相手を選ぶ自由が与えられていて、群れることで安心する、大学生活の核心を絶妙に閉じ込めている。かといって後悔するほどでもなく、読後感は平静。 

ぼっちーズ

ぼっちーズ

 

塩の街 (角川文庫) 有川浩

初めてツイでこの表現を使う

「ニヤニヤが止まらない」とはこのことか。

人目を憚らず、小説で笑う、呟く、唸る、まさに心を鷲掴む作品でした。

漫画?映画?気持ちいい娯楽に出会うと日々が楽しく見えるようになる。芯の強く甘い登場人物たちにならって良い発見が出来そう。f:id:marsaw:20180323175504p:plain

フルーツパーラーにはない果物 瀬那和章

キャラに劣等感を持つ女子たちは何かになりたいと強く願ったことがない。

雪には雪の〜は言葉の呪縛を受け容れたのに対し、劣等感含めた自分を受け容れて前を向く。

夢や渇望の残渣すらないけど、ほっとする話ばかり。

正しい達観なんだけど認めたくないなぁ

フルーツパーラーにはない果物 (文春文庫)

フルーツパーラーにはない果物 (文春文庫)

 

森山 :イチゴ

  • 週末を楽しむために働いている
  • 退屈な仕事だけど、残業は滅多にないし給料もそこそこ。これで不満を言えば罰が当たる p.187

桧野川:レモン

  • なにかになりたいと強く願ったことはない。目の前に突きつけられた選択肢の中で自分が生きやすい方を選んできただけ。
  • ちゃんと向いている場所にたどり着けた p.171
  • キャラ受け入れるしかない。だとしてもみんなに必要とされるそういう自分で有り続けよう。
  • 私が愛していたのは彼ではなかった。
    彼が内側に秘めていた、私が持っていないものに惹かれたのだ。それは夢や情熱や狂おしいほどの渇望や、そこから生まれる自信や気高さだった。もし私が彼を選べは、彼の秘密は少しずつ損なわれてしまうだろう。そのたびに私は傷つき絶望する。やがて彼を愛することさえも出来なくなってしまう。
  • 私たちはみんな自分のことが嫌いで、いつだって誰かを羨んでいるくせに、人生をまるごと取り替えてあげようかと言われると、悩んだ末に断ってしまうくらい自分に執着している。P.332

 

P.332 これがベストフレーズかな。

 

凍りのくじら 辻村深月

半端な距離を保って人間観察をする理帆子は元彼が堕ちてゆく様を見たい。暴走した気持ちを深く理解する一方で極寒の覚めた見方。文章にする作者の源泉は何なのか。濁りのある現実感にのめり込み、興奮の果てにフラグの存在に気付く収束感。物語への飢えを掻き立てる。

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

魔女と思い出と赤い目をした女の子 サクラダリセット2 (角川文庫) 河野裕

写真に現身を記録する能力。自分の能力が及ばなかった仮定を視る能力。規則性の無い変数を組み合わせて、反則じみた重ね技の発想に辿り着く。作中に出るボブ・ロスの画法に近いロジックなのかな。石になっても好きでいられるか、次巻から本編な予感。

f:id:marsaw:20180323180221p:plain

ラプラスの魔女 東野圭吾

凡人目線の読者としては、全てお見通しな超人たちのご都合主義で「あなたは知らなくていい」とお預け食うばかり。葛藤が薄いし種明かしがそれって…。動機と欠乏症がいまいち合わない。理性なの?感情なの?量産型SFもどきミステリーで好きになれない。 

ラプラスの魔女 (角川文庫)

ラプラスの魔女 (角川文庫)

 

ソードアートオンライン17 川原礫

各国アカウントによる蹂躙を止めるため、自垢消失と痛覚軽減抜きで仲間達が駆けつける。歴代キャラ参戦。嬲り殺しの絶望感を最終前に持ってくるのキツいけど、全ての集大成を纏めようとしてて期待が高まる。本当の自分とは?どんな答を用意してくれるか。

ソードアートオンライン18 川原礫

VRの牢獄と時間の長さ・短さを巧みに使う。
「1秒の長さ」が惜しくなる展開。

気が遠くなり没入した。

記憶はなくなっても気持ちは消えない。VRに明け暮れた少年期は幕を下ろす。デスゲームからの苦悩に思いをはせてしまう。うまい区切りをしたので読後感良い。

 

夏と花火と私の死体 乙一

死体を隠す、それだけの話に、死者も読者にも疑問を挟ませることなく、迅速に処理を開始する。その強引さに微かな若さを感じるけれど、やはり張り詰めた糸に絡み取られる。本作だけで絶賛できるほど書評できない。この後どんなの書くんだ?とヒヤリとした。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

 

 

カフーを待ちわびて 原田マハ

何も傷つけてこないやさしさ。安定した気持ちがいつまでも続く。そういう沖縄離島の雰囲気に最後まで抱かれる。豪業なメッセージを埋め込むことなく、全体のやさしさこそメッセージだろうか。マハさんの作品は、手紙、演説や台詞で毎回心を震わせてきます。

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

 

空の中 有川浩

戦闘機好き設定に陶酔気味な序盤。こんなに対話が占拠するとは想像しなかった。全き1つの白鯨に社会を照らし「間違ったら過ちを認める。相手も許す。折れ所を見つける」という至極当り前の処世術に対し、説教臭さは微塵も無い。ひと夏の成長を鮮やかに頭に描くことができました。

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

 

仮面病棟 知念美希人

読み易い、が精一杯のお世辞。それは個人の主観としても、学芸会夢オチなのかと思うほどの大根ぶり。不自然さで犯人や設定が読めるし、楽しむことも入り込むこともできず。最後も「おーい…」だったので、ブックオフ108円に5冊あったのを納得。読み易いけど…

仮面病棟 (実業之日本社文庫)